富士山自然観察会を実施しました!
2023.9.1
去る8月27日、昨年に引き続き2回目となる富士山自然観察会を実施しました。
講師に富士山生物多様性研究室代表の渡邊通人氏を迎え、講師が富士山麓の異なる環境で比較調査をしている植生と昆虫類について、解説をしていただきながら観察をする内容といたしました。
財団事務所にて開会後、借上げたマイクロバスに乗車し出発。
標高1,100mに位置する、財団が地権者と協同で進めている水資源保全のための整備森林に向かいます。
まずは整備をする前の森林についてお話をいただきます。
カラマツの人工林に手を加えないことで低木層や草本層が成長し、原生的自然に近い環境に遷移してきています。
今年の植生調査と2年前に実施した調査とを比較したところ、植物の種数には基本的に大きな変化はみられたかったそうです。
続いて、除伐、間伐、草刈といった整備をした後の森林について解説をいただきました。
整備を行うことで林床に光が入り、草木層の種類が63種類から106種類に増加しました。特に、整備後森林の草木層106種類の内、未整備森林には見られない種類が64種類もあったなど、いかに草木層が豊かになったかというお話を伺いました。水資源保全を目的に行っている森林整備が、生物多様性の増加にも貢献しているとのことです。
整備森林の観察を終え、続いての目的地である梨ヶ原草原に向かいます。
全国的に草原環境が激減する中、広大な面積を誇る梨ヶ原草原は、全国を代表する草原といっても過言ではありません。4月に火入れを行うことで草原環境が保たれています。
今回は立入が許される日を確認し、入会権利のない参加者には入山鑑札を取得した上で立入りました。
1ヵ所目に訪れた、見渡す限りの草原が広がる場所では絶滅危惧種のヒメシロチョウを観察することが出来ました。
少し歩いた場所は、火が入りにくい場所であることからアカマツなど高木も残っていたりと、植生や昆虫の種類も変わってくるというお話を伺いました。同じ草原でも少しの環境の違いによって、生息する生物が違ってくることを学びました。
草原内をバスで移動し訪れた2カ所目の場所は、カシワの木が多く残る場所となっています。カシワは火に強く、火入れをしても耐えられるそうです。
こちらのエリアは調査の結果、草原1ヵ所目の場所よりも草木層の種類が多い場所とのことでした。
閉会の前には質疑応答や参加者からの感想などを頂きました。
今回初めて梨ヶ原に入るかたが多く、梨ヶ原はすごい場所、驚くことが多かったなどのコメントや、自然に手を加えることについてプラスの面もあることを知った、それぞれの自然環境には意味があって無駄なものはない、など感想をいただき会を閉めました。
今後も身近にある富士山麓の自然環境を知ることで大切に思い、保全の気持ちが醸成されるよう、観察会を開催して参ります。